水質地球化学研究室の福士圭介教授、今井英吾さん(2017年度卒業)、北島卓磨さん(博士前期2年)、バーサンスレンさん(博士後期課程2年)らは、自然界のアルカリ塩湖からのモノハイドロカルサイト生成の鉱物学的証拠を世界で初めて見出し、その成果が国際誌MINERALSに掲載されました。モンゴル国立大学・東京工業大学との共同研究です。
2018年発表成果(Fukushi and Matsumiya 2018)では、希少鉱物モノハイドロカルサイトは世界のアルカリ塩湖で普遍的に生成することを予測しました。一方、自然界のアルカリ塩湖からのモノハイドロカルサイトの直接生成の証拠はこれまで報告されておりませんでした。本研究ではモンゴルのValley of Gobi Lakeの3つの湖を対象に調査を行い、採取した湖水に含まれる懸濁物の鉱物学的分析から、いずれの湖でもモノハイドロカルサイトが存在していることを見出しました。この発見は、2018年発表成果(Fukushi and Matsumiya 2018)を裏付ける重要な成果です。
太陽系のいくつかの氷天体の内部海は、高pH、高重炭酸イオン濃度に特徴づけられ、塩湖のような水質であると考えられています。地球の塩湖に普遍的にモノハイドロカルサイトが生成しているように、内部海にもモノハイドロカルサイトがひそかに生成している可能性があります。本研究ではその可能性に基づき、モノハイドロカルサイト-水間の化学平衡論を駆使することでエンセラダス内部海の水質を復元も行いました。
雑誌名: MINERALS
論文名: In Situ Formation of Monohydrocalcite in Alkaline Saline Lakes of the Valley of Gobi Lakes: Prediction for Mg, Ca, and Total Dissolved Carbonate Concentrations in Enceladus’ Ocean and Alkaline-Carbonate OceanWorlds
発表者名: Fukushi K., Imai E., Sekine Y., Kitajima T., G. Baasansuren, D. Davaadorj, Hasebe N.
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