【研究成果】モンゴル・アルカリ塩湖の重金属汚染を観測
水質地球化学研究室のバスカさん(2022年博士修了・現博士研究員)・今井英吾さん(2017年学部卒業)・北島卓磨さん(博士後期課程3年)・関根康人客員教授(東工大ELSI所長)・福士圭介教授らの研究グループは、モンゴル南部乾燥域の湖沼の水質の5年にわたり長期観測し、河川により湖沼に運ばれるウランは乾燥に伴う蒸発により湖水に異常に濃集することを明らかにしました。地球年代学グループ・モンゴル国立大学・東京大学との国際共同研究です。
多くの重金属は濃度が増加すると、鉱物化したり鉱物に吸着したりして湖水に蓄積することはありません。これに対し本研究は大陸内部の塩湖の水質条件では、ウランはナトリウムや塩化物イオンと同様に溶液中に蓄積されることを示したことが成果です。
最近の気候変動や土地利用の変化により中央アジアの砂漠が進行しています。この結果は将来的に温暖化に伴い現地の湖沼群が消失したとき、湖水に溶解していた重金属含有塩が広範に析出する可能性を示唆するものです。溶けやすい物質は有害性が高いので、気候変動に起因する新たな環境問題となるかもしれません。
雑誌名: Journal of Hazardous Materials
論文名: Arsenic and uranium contamination of Orog Lake in the Valley of Gobi Lakes, Mongolia: Field evidence of conservative accumulation of U in an alkaline, closed-basin lake during evaporation
発表者名: G. Baasansuren, Fukushi, K., D. Davaadorj., Imai, E., Kitajima, T., U. Uyangaa, G. Tuvshin, Sekine, Y., Takahashi, Y., Hasebe, N.
論文はこちら(出版社のページ。2022年6月23日まで無料で閲覧できます)